へなちょこ俳句マラソン

平成22年
12月15日 50   飲み終へしペットボトルの虚ろ冷えゆく
12月14日 49   風邪の子の荒き寝息に頬は照り [創作デス]
12月13日 48   舌の上ブリの脂のじわり溶く
12月12日 47   日暮れ疾し灯りを指して人の波
12月11日 46   冴ゆる朝家居の影のくっきりと
12月10日 45   陽は低く日向かがよひ日蔭凍て
12月9日 44   レノン忌に数多の戦さ未だ終わらず[昨8日はジョン・レノンの命日でした]
12月8日 43   空充たすパステルの雲うそ寒し
12月7日 42   暮れの街 煌めく木立(イルミネイション) さ迷へり[表参道小景]
12月6日 41   冬茜束の間明日の標(しるべ)見せ
12月5日 40   神の手の瑕なき宇宙小(ち)さき吾[12月5日はW.A.モーツァルトの命日]
12月4日 39   南風猛く葦の枯野を乱し去る
12月3日 38   歯ぶらしに神のおはさむ小夜時雨
12月2日 37   上階に人あり夜半の嚏(くさめ)三つ
12月1日 36   冴ゆる夜気貫き届く火の用心
11月30日 35   蒼天の圧ものとせず冬木立
11月29日 34   惹き寄する瞳マスクの裏(うち)ゆかし
11月28日 33

  瑠璃の皿寒き小さき海湛ふ 

 [静岡で作陶なさっている臼田けい子さんの器を初めて手にしました。実に美しいです。]

11月27日 32   爪切れば息吹き返す冬の指
11月26日 31   午後の陽は格子の長き影落とす
11月25日 30  夕空のもみぢ玉響(たまゆら)照り去にき
11月24日 29

 一葉忌天使の梯子光りをり[昨23日は樋口一葉の命日でした。]

11月23日 28

 絹の声裏(うち)つ氷室に灯点しぬ[前夜の大貫妙子+坂本龍一デュオコンサートに寄せて]

11月22日 27  寒月よ吾が往く末を照らし出せ
11月21日 26  最後(いやはて)のもみぢ薄き陽にかがよふ
11月20日 25

 良き縁(えにし)呼び集めなむこの熊手[前日の二の酉に寄せて]

11月19日 24  籠めし陽に膨るる無花果無数なり
11月18日 23  書き割りの寒晴れが裏(うち)に在るは何
11月17日 22  書(ふみ)読めば焼き芋売りの声微か
11月16日 21

 寒空の雲陽を籠むる擦り硝子[表記改めました「ガラス」→「硝子」]

11月15日 20

 風邪は薄紙剥がすやうに癒えゆく

11月14日 19

 日短しステンドの技彼方(をち)にても見ゆ[表記改めました「業」→「技」]

11月13日 18  温き風空澄む小春に気もすずろ
11月12日 17  街なかの銀杏もみぢの気配なし
11月11日 16  夜寒なりかの午後の陽は遠き幻
11月10日 15  根菜の甘きに土の力いただく
11月9日 14  木星(ユピテル)の光万物を凍らしむ
11月8日 13

 野外ショー待ちつつケット分かち合う[TDSシリーズ。仲むつまじいカップルの姿に]

11月7日 12

 ゴンドラに君の体温感じゐる[TDSにて。仲むつまじいカップルの姿を見て]

11月6日 11  陽だまりに燃ゆるもみぢばガーネット
11月5日 10  身縮ます寒気に負けぬ子らの声
11月4日 9  日暮るれば音無く冷気這いのぼる
11月3日 8  苦楽経し翁媼に幸多かれ(敬老祭に)
11月2日 7  めし碗の温み凍えし手をほどく
11月1日 6  霜月は思ほえず温き雨に立ち
10月31日 5  虫の音を聴きしや否や神無月
10月30日 4  野分近く昏き雨空雲疾し
10月29日 3  ひんやりと身包む風に季節(とき)想う
10月28日 2  窓におく露たっぷりと秋深し
10月27日

 食卓に秋の実りをいつくしみ

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